退職金をどう運用する?「減らさない」ことが最優先!
長年働いてようやく受け取った退職金。まとまった金額だからこそ、「安全に、できれば少しでも増やしたい」と思う方が多いのではないでしょうか。
しかし、退職金は一度きりの大金です。運用に失敗して大きく減らしてしまっては、老後の生活に大きな影響を与えます。そこで今回は、初心者でも安心して始められる「元本割れしにくい」運用方法を3つに厳選してご紹介します。
選択肢①:定期預金 〜王道の安全資産〜
■ 特徴
定期預金は、銀行にお金を一定期間預けることで、決められた金利で利息を得る商品です。最大の特徴は、元本が保証されている点。預金保険制度により、万が一銀行が倒産しても1,000万円までは元本と利息が保護されます。
■ メリット
- 元本保証
- 利息が確定している
- 短期から長期まで選べる
■ デメリット
- 金利が非常に低い(2025年時点で大手銀行は0.002〜0.2%程度)
- インフレに弱い(物価が上がると実質価値が目減り)
■ おすすめの使い方
- 退職金の一部を数年の短期定期に分ける「階段式定期預金」
- 高金利キャンペーンを実施しているネット銀行を活用
選択肢②:個人向け国債 〜国が発行する安心の債券〜
■ 特徴
個人向け国債は、国が個人に向けて発行している債券です。3年・5年・10年の満期があり、「変動10年」タイプが特に人気です。最低金利(0.05%)が保証されており、金利は半年ごとに見直されます。
■ メリット
- 元本保証(中途換金時でも最低金額保証あり)
- インフレにある程度強い(変動金利)
- 国が発行するため信用力が高い
■ デメリット
- 銀行や証券会社での購入が必要
- 中途換金時は直近2回分の利息が差し引かれる
■ おすすめの使い方
- 定期預金よりやや高い利回りを期待したい方に
- 長期保有を前提に「変動10年」でインフレ対策を意識
選択肢③:年金保険(個人年金)〜老後資金を分散管理〜
■ 特徴
年金保険とは、保険会社に一括でお金を預け、一定期間後から年金形式で受け取る仕組みの保険商品です。「確定年金型」であれば、受け取り期間中に死亡しても遺族に残せるので安心感があります。
■ メリット
- 元本確保型商品も多い
- 公的年金と組み合わせて受取時期を調整できる
- 税制優遇(契約形態により生命保険料控除や雑所得控除あり)
■ デメリット
- 中途解約で元本割れのリスクあり
- 受け取り開始までに時間がかかる
- インフレにはやや弱い
■ おすすめの使い方
- 65歳以降に収入の柱が欲しい方
- 公的年金の支給額だけでは不安な方に
選択肢④:現物投資〜金融商品と分散管理〜
■ 特徴
現物投資とは、出口を決め、不確実要素を極力排除した投資方法です。対象は実物資産や会社への貸し付けなど様々です。富裕層の間で行われていることが多く、一般的には開示されていないことが多いです。
■ メリット
- 元本保証ではないが、確実性が高い
- 税制的には雑所得となるが、優遇される場合もあり
- インフレに強い
■ デメリット
- 情報があまり出回っていない
- 自分で実践するにはハードルが高い(エントリー金額1億円以上など)
- 話の出所がしっかり信頼関係が結べる人か見分ける必要がある
■ おすすめの使い方
- 安定的な利息収入が得られる
- 公的年金の支給額だけでは不安な方に
【比較表】3つの選択肢を一目で比較!
項目 | 定期預金 | 個人向け国債 | 年金保険 | 現物投資 |
---|---|---|---|---|
元本保証 | あり (1,000万円まで) | あり | 生命保険保護機構により責任準備金の9割まで保証 | なし |
利回り | 低い (0.002〜0.2%) | やや高い (変動あり) | 中〜やや高め (保険会社により) | やや高め~高め |
流動性 | 高い | 中程度 (中途換金OK) | 低い (途中解約時は元本割れの可能性も) | 中程度 (短期~中期のものもあり) |
向いている人 | とにかく安全重視 | インフレが気になる方 | 老後資金の準備として | インフレが気になる方 |
【まとめ】大切なのは「分散」と「計画」
退職金の運用で最も大切なのは、「一つに集中させないこと」です。全額を一つの金融商品に預けると、その商品のリスクに全てを委ねることになります。
- 生活資金はすぐ使える「普通預金・定期預金」
- 中期的な運用には「個人向け国債」
- 老後の備えには「年金保険」
このように**用途別に分ける「資金の色分け」**をすることで、安全性と効率を両立した運用が可能になります。
【FPからのひとことアドバイス】
資産運用=リスクがある、というイメージが強いかもしれませんが、「退職金の安全な運用」は選び方次第でリスクをかなり抑えることができます。初心者でも無理なく始められる方法から、一歩ずつ始めてみましょう。
ご自身のライフプランに合わせて最適な方法を見つけたい方は、ぜひファイナンシャルプランナーにご相談ください。