購入と賃貸はどっちが得?―人生100年時代の正しい判断軸とは|FPが徹底解説

目次

購入と賃貸はどっちが得?

人生100年時代の正しい判断軸とは【FPが徹底解説】


■初めに

「家は買ったほうが得」
「いや、賃貸のほうが自由でコスパがいい」

住宅の「買う vs 借りる」論争は昔からありますが、実はこの議論には重要な前提が抜けていることが多いのです。

それは――
“人生100年時代の長期的なライフプラン視点” です。

住宅は「目先の支出額」だけで決めると失敗します。
必要なのは、あなたと家族の将来キャッシュフロー全体の最適化なのです。

本記事ではFPとして多くの家庭を見てきた経験から、

  • どっちが得かは「人生設計」によって違う
  • 購入か賃貸かは“条件”で合理的な答えが変わる
  • 老後資金とのバランスが最重要

という点を、やさしく解説します。


■1. 購入と賃貸の「損得比較」は実は意味がない理由


多くの比較記事は、

  • 家賃総額 vs 住宅ローン総額
  • 固定資産税やメンテ費を含めた実質負担額
  • 家を売却したときの資産価値

などの計算をします。

もちろんこれらも大切です。しかし――


“損得は個人のライフプランによって変わる”


という事実がもっと重要です。

たとえば以下の条件が違うだけで最適解は完全に変わります。

  • 何歳まで働くか
  • 子どもの人数・進学方針
  • 転勤の可能性
  • 結婚の有無
  • 老後にどこで暮らしたいか
  • 収入の安定度

つまり、


購入が得な人賃貸が得な人 が明確に存在します。


あなたにとってどちらが正解なのかは、
「人生100年シミュレーション」を前提に考える必要があるのです。


■2. 【購入が得になりやすい人】の特徴


以下に当てはまる人は、購入のメリットが大きくなりやすいタイプです。

●①同じ地域に長く住む予定がある

購入は初期費用が高いため、短期での住み替えは損になりやすいです。
10年以上住むなら購入側は強くなります。

●②家族構成が安定している

人数が増えるたびに引越しをしていたら賃貸は割高。
広さが確定しているなら購入のほうが合理的です。

●③老後の家賃支払いが不安

年金生活で毎月家賃を払い続けるのは大きなリスク。
持ち家なら住宅費の固定化ができます。

●④ある程度の収入安定がある

住宅ローンは長期契約。
収入が安定していると購入の難易度はぐっと下がります。

●⑤資産として残したい

土地の価値が期待できるエリアなら、購入は「住む投資」になります。
とくに大都市圏は資産価値が落ちにくい傾向。


■3. 【賃貸が得になりやすい人】の特徴


以下に当てはまる場合は、賃貸のほうが合理的になることが多いです。

●①転勤・転職・独立の可能性が高い

一度買っても、数年で引っ越すなら売却コストが重い。
キャリアが安定するまでは賃貸のほうが柔軟です。

●②働き方や収入が変わりやすい

ローン返済がストレスになる可能性があるため、
ライフステージが変わりやすい時期は賃貸が向きます。

●③子どもの人数がまだ決まっていない

必要な間取りが変わるため、購入より賃貸が適応力で勝ちます。

●④相続で家をもらう可能性がある

すでに将来住む場所が見えているなら、今買う必要はありません。

●⑤老後は地方に移住したい

「今は都心」「老後は地方」というパターンは、
賃貸で身軽にしておくほうが合理的です。


■4. 数字を使った「人生100年時代」の構造的な違い


購入と賃貸の判断軸を「費用の比較」だけで行う時代は終わりました。
本当に重要なのは以下の3点です。


●①老後の家賃問題

賃貸は80代になっても家賃が出続けます。

たとえば家賃8万円の場合:

  • 80歳〜100歳まで20年間
  • 8万円 × 12ヶ月 × 20年 = 1,920万円

年金生活でこれは大きな負担です。

一方持ち家はローン完済後は固定資産税+維持費のみ
老後の家計安定度は圧倒的に違います。


●②資産として残るかどうか

持ち家はエリア次第で「資産」にも「負債」にもなります。

  • 大都市近郊 → 値下がりしにくい
  • 郊外・人口減のエリア → 大きく値下がりしやすい

人生100年の後半では、家を売却して資金化する人も増えるため
エリア選び=未来の資産選びでもあります。


●③住み替えコスト

賃貸は引越しの自由度が高い反面、
更新料・敷金礼金・引越し費用が積み重なります。

購入した家は住み替え時に売却益(または損)が発生します。

これらを長期のキャッシュフローで計算した上で判断する必要があります。


■5. FPが推奨する「正しい判断ステップ」


購入か賃貸かの正解は、以下の手順を踏むと自然に見えてきます。


①ライフプラン(人生設計)を作る

  • 子どもの予定
  • 学費総額
  • 仕事の変化
  • 何歳まで働くか
  • 老後はどこで暮らしたいか

②30〜40年のキャッシュフローを作る

収入・支出・貯蓄を長期で見える化する。


③住宅費に使える“安全ライン”を決める

背伸びではなく、長期で無理なく払える額を算出。


④その予算内で購入の選択肢と賃貸の選択肢を比較する

すると、
あなたの家計にとってどちらが合理的かが明確になります。


■6. 結論:どっちが得か?の答えは「あなたの人生次第」


住宅に正解はありません。


購入は“固定化と資産性”のメリット

賃貸は“自由と身軽さ”のメリット


大切なのは、
世間一般の意見ではなく、
あなたのライフプランに合った選択をすること。

人生100年時代では、
「今いくらかかるか」ではなく、
“一生を通じたお金の流れ”が最も重要です。

どちらを選ぶにせよ、
まずは未来の収支を見える化し、
根拠ある判断ができる状態をつくりましょう。

それこそが住宅迷子にならない最も確実な方法です。


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