「突然の入院」「認知症の進行」「万が一のとき」――
そんな場面で、家族が困らないようにするために欠かせないのが、**「資産内容の共有」**です。
「通帳はどこにあるのか」「どこの証券会社を使っているのか」「保険は入っているのか」――
ご本人以外は何も知らない状態では、大切な資産が“見えないまま”になってしまうリスクがあります。
今回は、「最低限、家族に伝えておきたい資産情報」と、「うまく共有するコツ」を、わかりやすくご紹介します。
なぜ資産の共有が必要なのか?
① もしもの時に“何もわからない”状態になる
急な病気や事故で意識がない状態になったとき、家族が財産の状況を把握していなければ、預金の引き出し、保険の請求、支払い手続きなどが何もできなくなることがあります。
② 相続時のトラブル・発見漏れの原因になる
相続時に資産が把握できていないと、「存在に気づかれず、請求・相続されないまま」になるケースもあります。
特にデジタル資産(ネット銀行、証券口座、仮想通貨など)は、通帳がないため存在に気づきにくいという問題があります。
③ 家族の不安を減らす「安心材料」になる
資産情報の共有は、家族にとって「安心できる材料」になります。
事前に話し合いがあるだけで、「いざというときの備えができている」という心の余裕につながります。
最低限、家族に共有しておきたい情報一覧
1. 銀行口座・預金情報
- 取引銀行名・支店名
- 口座の種類(普通・定期など)
- 通帳・印鑑・キャッシュカードの保管場所
- オンラインバンキングの有無(ID・パスワードの記録方法)
2. 証券口座・投資信託・株式・iDeCo/NISAなど
- 証券会社の名称・口座番号
- 保有商品の種類・金額の目安
- ネット証券の場合はログイン情報の保管方法
- iDeCoやNISAの管理機関
3. 保険(生命保険・医療保険・がん保険など)
- 保険会社名・契約番号
- 契約内容(保障内容・受取人)
- 保険証券や控えの保管場所
- 加入者ページへのアクセス情報(ネットの場合)
4. 不動産・ローン
- 所有物件の所在地・登記情報
- 権利書の保管場所
- 賃貸契約や管理会社の連絡先
- 住宅ローンがある場合は、金融機関名・残債額
5. 年金・退職金・企業年金
- 公的年金(基礎年金番号・年金定期便)
- 勤務先の企業年金の有無・管理機関
- 退職金の支払い予定・企業との連絡先
6. 借入・クレジットカード・契約情報
- ローン(自動車・教育ローンなど)
- クレジットカード会社名・引き落とし口座
- 毎月の引き落とし内容(サブスク等)
7. デジタル資産・電子マネー・仮想通貨
- PayPay、楽天ペイなどの残高
- ビットコインなど仮想通貨のウォレット情報
- ID・パスワードの一覧(別管理が望ましい)
家族に共有するためのコツと注意点
① 一度に全部でなくてもよい
まずは「銀行と保険だけ」といった形でもOK。
ハードルを低くして、徐々に範囲を広げることが続けるコツです。
② エンディングノートや資産リストを活用
市販のエンディングノートや、Excel・Wordで簡単な「資産一覧表」を作っておくだけでも十分です。
✅ 書いておくべき項目:
- 種類(銀行・証券など)
- 名前・会社名
- 口座番号(またはID)
- 保管場所
- 備考欄(連絡先、加入の理由など)
③ 定期的に見直す
「作って終わり」にしないよう、年に1回程度の棚卸し・更新の習慣をつけましょう。
お正月や誕生日など、「家族が集まる時期」に話すのもおすすめです。
④ 書いた情報の保管場所を家族に伝えておく
ノートやファイルは火事・地震でも守れる耐火金庫やクラウド管理が理想的。
「どこにあるのか」「誰に見せるのか」は最低限伝えておきましょう。
まとめ|資産情報の共有は「安心」の第一歩
資産情報の共有は、金額の大小にかかわらず、家族の暮らしを守る大切な備えです。
✅ まとめ:
- 共有すべき項目は「7つの資産ジャンル」から
- 一気にではなく「まずは1ジャンル」から始めてOK
- 情報は「書き残す・見せる・定期的に見直す」が基本
「知らない」「わからない」は、いざという時に大きな負担になります。
あなたと家族の安心のために、今日から小さく始めてみましょう。