変動金利と固定金利、どちらを選ぶべき?初心者でも判断できる基準
住宅ローンを選ぶとき、必ずぶつかるのが——
「変動金利と固定金利、どっちがいいの?」
という問題です。
実はこのテーマ、ネット上ではさまざまな意見が飛び交い、初心者ほど迷いやすい分野です。
- 変動の方が得って聞く
- 金利が上がったらどうなるの?
- 固定は安心だけど高い…
結局どちらを選べばいいのか、わからなくなってしまいますよね。
しかし、FPとして住宅相談を受けてきた経験から断言できます。
結論:住宅ローンは「家計に余裕があるか」で選べばいい
理由はシンプルで、
変動金利は“リスクが取れる家計”向け
固定金利は“リスクを取りたくない家計”向け
だからです。
そして、この「家計の余裕」は年収の多さでは決まりません。
毎月の貯蓄力
ライフプランにおける支出ピークの有無
教育費・老後費の見通し
これらによって “本当に返せるか” が決まります。
1|変動金利は「低金利&リスクあり」。どう向き合う?
まずは、変動金利の特徴を整理しましょう。
●メリット
- 圧倒的に金利が低い(0.3〜0.6%台が主流)
- 毎月返済額が少なく、家計がラク
- 金利が上がらなければ総返済額は最も少ない
変動を選んだ人の8〜9割が、
「総額が安いから」
という理由で選んでいます。
ここまでは良いのですが、問題はデメリット。
●デメリット
- 金利が上がる可能性がある
- 将来の返済額が読めない
- 家計に余裕がないと返済が苦しくなる
特に怖いのは、
金利上昇で返済額がじわじわ増えること。
日本は長く低金利でしたが、2024〜2025年は世界的なインフレの流れを受け、金利が動きやすい環境になっています。
変動金利を選ぶなら、以下の条件は必須です。
▼変動金利を選んでOKな人の条件
- 毎月5万円以上の貯蓄ができる余裕がある
- ボーナスに頼らず返済できる
- 金利が1〜2%上がっても生活が崩れない
- 収入が安定している
- 共働きの継続見込みがある
つまり、
多少返済額が増えても耐えられる家庭
が変動金利に向いています。
2|固定金利は「安心&割高」。どんな人に向いている?
一方、固定金利はこうです。
●メリット
- 返済額が完済まで変わらない
- 将来の見通しが立てやすい
- 金利上昇局面に強い
「金利が上がって返済に困る」ことがないため、
安心感は圧倒的に高い
と言えます。
●デメリット
- 変動より金利が高い(1.3〜1.8%程度)
- 同じ借入額でも月額が高くなる
- 審査がやや厳しいケースもある
総返済額が増えやすい分、
安全性を買うローン
と考えると納得しやすいです。
▼固定金利を選ぶべき人の条件
- 貯蓄が少なく、家計に余裕がない
- 子どもが小さく、これから教育費がかかる
- 片働き家庭(特に世帯主が自営業)
- 金利上昇リスクに耐えられない
- ローンに不安が強い
特に重要なのが
「家計の余裕が薄い人」ほど固定の方が安全
という点です。
3|判断に迷ったら“この一問”で決められる
住宅ローン相談で、私が必ず聞く質問があります。
👉「金利が1%上がっても返済できますか?」
これに Yes と答えられるなら変動でOK。
No なら固定が安全。
この基準だけで、90%の家庭は正しい選択ができます。
【例:3000万円借入の場合】
金利0.5% → 月返済約79,000円
金利1.5% → 月返済約103,000円
(約24,000円増える)
この差に耐えられるかどうかが判断の分かれ目です。
4|ライフプランを作れば、答えが出てくる
変動・固定の選択で悩む人ほど、
家計の未来が見えていない
という共通点があります。
▼代表的な不安
- 教育費、いくらかかる?
- 老後にいくら残せる?
- 車の買い替えはいつ?
- 収入はどう変化する?
これらを把握していなければ、
どの金利を選んでも不安は消えません。
だからこそ、
“金利選びの前にライフプラン”
が鉄則です。
キャッシュフロー表を作れば、
金利が0.5%上がった場合の影響も数値でわかり、
変動金利にするか固定にするか、自然に判断できるようになります。
5|最後に:住宅ローンは「金利」で選ばないこと
多くの人は
「どちらが得か?」
「総返済額が安いのはどっち?」
で判断しがちです。
しかし、住宅ローンで破綻する家庭は
金利をケチった人たち
です。
- 家計がギリギリなのに変動金利
- 教育費を甘く見積もった
- 想定外の出費に耐えられない
こういう家庭は、金利上昇に弱いのです。
住宅ローンの目的は
最も安いローンを取ることではなく、安心して返し続けること。
金利選びは「家計の余裕」で決める。
この視点を持っているだけで、住宅購入の失敗は大きく減らせます。
【まとめ】初心者でも迷わない金利の選び方
| 家計タイプ | おすすめ金利 | 理由 |
|---|---|---|
| 貯蓄が多く家計に余裕 | 変動金利 | 金利変動に耐えられる |
| 共働きで安定収入 | 変動金利 | リスク分散がある |
| 貯蓄が少ない・片働き | 固定金利 | 金利上昇に弱い |
| 教育費がこれから増える | 固定金利 | 返済額が固定され安心 |
| 金利の変動が不安 | 固定金利 | メンタル面のメリット大 |