住宅購入は“物件探し”から始めると失敗する理由
~FPが教える、正しいマイホーム計画の進め方~
■初めに
家を買おうと思ったら、まず何から始めますか?
多くの人が最初にやってしまうのが、
「とりあえずSUUMOやホームズで物件を見る」 こと。
しかしFPとして相談を受けてきた経験から言えば、
これは住宅購入の失敗パターンの“入口”です。
本記事では、
- なぜ物件探しから始めると失敗しやすいのか
- 逆に正しい順番とは何なのか
- ライフプラン作成がなぜ必須なのか
を、初心者でも理解できるようにわかりやすく解説します。
■1. 物件探しから始める人が失敗する3つの理由
●理由①:予算がふわっとしたまま“背伸び購入”に走る
最も多いのが、予算設定が曖昧なまま物件を見ることです。
人は魅力的な物件を見ると感情が動き、
「せっかくだからこのくらいなら…」と
想定以上の予算を許容してしまいます。
しかしその背伸びが、
- 返済額が高すぎて家計が苦しくなる
- 教育費や老後資金が圧迫される
- 共働きが必須になり家庭が疲弊
といった問題を引き起こします。
“欲しい”感情が先に動くと、冷静な判断は難しくなります。
●理由②:住宅ローンの仕組みを理解しないまま決めてしまう
物件を先に選び、その後にローンを考えると、
「選択肢が狭い中から選ばされる」形になりやすいです。
本来は、
- 変動金利でいいのか
- 固定金利のほうが安全なのか
- どの返済額が自分の家計にフィットするのか
をじっくり検討すべきです。
しかし物件先行だと、
「この家を買うためにどのローンが組めるか?」
の視点になり、無理な返済計画に陥ることがよくあります。
●理由③:将来のライフイベントを見落とす
家を買った後、私たちの生活は必ず変化します。
- 子どもが生まれる
- 教育費が増える
- 親の介護
- 転職や収入変動
- 老後資金の準備
これらを想定せずに購入すると、
後から返済が重荷になることが多いのです。
住宅購入は「今の収入」ではなく、
将来30年・40年の家計を踏まえて判断するもの。
だからこそ、物件探しより先に「ライフプラン作成」が必要です。
■2. 正しい住宅購入の順番は「物件探しの前に〇〇」
結論から言えば、
正しい順番は、
①ライフプラン作成 → ②予算設定 → ③物件探し
です。
FPとして相談を受けてきた家庭のうち、
住宅購入後に家計が安定している人は
例外なくこの順番を守っています。
●①ライフプラン作成
まずは「人生のお金の見取り図」を作ります。
ポイントは:
- 何歳まで働くか
- 子どもの人数と教育方針
- 老後資金はどれだけ必要か
- 住宅以外の生活費・保険・車の費用
- 働き方の変化(育休・転職・時短など)
これらを踏まえ、
30年間のキャッシュフロー表を作ります。
専門ソフトを使うのがベストですが、
Excelでも十分可能です。
●②住宅購入の“安全予算”を設定
ライフプランを作れば、
「今の収入から見た予算」ではなく、
無理なく返せる長期視点の予算がわかります。
目安としては、
- 年収の20〜25%以内の年間返済額
- 返済比率20%以下
- 家計の預金が半年〜1年分残る
- 老後資金を圧迫しない
といった条件を満たしているかが基準となります。
●③その予算内で物件を探す
予算が確定したら初めて物件検索です。
予算が決まった状態で物件サイトを見れば、
背伸びした物件に惑わされるリスクは激減します。
「買える家」ではなく
「自分たちにとって最適な家」が見つかりやすくなります。
■3. ライフプランを作るだけで住宅購入の失敗は8割防げる
私はFPとして、多くのご家庭のライフプランを見てきました。
その経験から断言できることがあります。
住宅購入の失敗は“無計画”が原因であることがほとんど。
逆に、購入前にライフプランを作るだけで、
- 家計破綻のリスクが激減する
- 教育費・老後資金の準備がスムーズになる
- ローン選びを冷静に判断できる
- 営業トークに振り回されない
- パートナーとお金の価値観のズレが減る
など、メリットだらけです。
ライフプランは、
「家を買うかどうか」よりも前に作るべきものです。
■4. まとめ:物件探しは“最後でOK”。まずは人生を整える
住宅購入は一度きりの人生の大きな買い物。
だからこそ、
物件探しは最後でいい。
予算づくりとライフプランが最優先。
この順番さえ守れば、
“住宅購入の失敗”はほぼ避けられます。
もしまだ物件サイトを開いているなら、
いったん閉じて大丈夫です。
まずはあなたの人生の未来予想図を描くこと。
それが、最高のマイホーム成功への第一歩です。