住宅ローンの審査に落ちる理由が「よく分からない」という相談は非常に多いです。
しかし実は、銀行が見ているポイントは明確で、事前に理解しておくことで“通過率”は大きく上がります。
本記事では、銀行が審査で重視する5つの基準と、通すための具体的な対策を、金融初心者の方でも分かりやすいように解説します。
■ 結論:銀行は「返済能力」と「信用力」の2つを見ている
住宅ローン審査の本質はとてもシンプルで、
①返済能力(本当に返せるか?)
②信用力(約束を守れる人か?)
この2軸で判断されています。
いくら年収が高くても信用情報にキズがあれば落ちる。
逆に年収がそこまで高くなくても、借入が少なく信用力が高ければ通ります。
では、銀行はどのようにこれらをチェックしているのでしょうか?
■ 1. 年収と返済比率(返済負担率)
銀行が最初に見るのは「返済比率」です。
● 返済比率とは?
「年収に占める住宅ローン返済額の割合」のこと。
計算式
年間返済額 ÷ 年収 × 100(%)
● 多くの銀行の基準
- 年収400万円未満:25%〜30%
- 年収400〜700万円:30%〜35%
- 年収700万円以上:35%〜40%
つまり、「借りすぎ」は最初に落とされるポイントです。
● 審査を通すための対策
✔ 借入額を下げる
✔ 返済期間を延ばす
✔ 頭金を入れて借入を減らす
✔ ペアローンにする(世帯収入合算)
特に、返済比率が高い人は物件価格の見直しが最優先です。
■ 2. 勤続年数と職業の安定性
銀行は“安定した収入が続くか”を慎重に見ています。
● 勤続年数の基準は?
- 多くの銀行の目安:1年以上
- フラット35は勤続1ヶ月からOK
ただし、1年未満でも「転職理由が妥当・同職種・収入アップ」などの場合は通ることがあります。
● 職業の安定性
安定度の目安は下記の通り。
公務員 > 大企業正社員 > 中小企業正社員 > 契約・派遣 > 自営業
といっても、自営業でも2〜3年の確定申告で黒字が安定していれば問題ありません。
● 審査を通すための対策
✔ 転職直後の審査は避ける(できれば勤続1年以上)
✔ 転職理由を説明できるようにする
✔ 自営業は申告所得を安定させる(節税しすぎ注意)
■ 3. 信用情報(CIC・JICC)
実は、審査で最も落ちやすいのはここです。
銀行は必ず、CIC・JICC・KSC(全銀協)に信用情報を照会します。
● よくある NG 例
- 携帯料金の延滞
- クレジットの支払い漏れ
- キャッシングの多用
- リボ残高がある
- 過去の債務整理
一度延滞すると、5年間は記録が残ります。
● 自分で確認できる?
できます。
CICのスマホ照会で1,000円で確認可能。
● 審査を通すための対策
✔ 携帯・カードの支払い遅延ゼロを徹底
✔ リボ残高を完済する
✔ 不要なカードを解約
✔ キャッシングは利用しない
特に、リボ払いは借金とみなされ、審査に強く影響します。
■ 4. 他の借入状況(車のローン・カードローン等)
銀行は「すでに毎月の返済がどれくらいあるか」を重視します。
● 対象になる借入
- 自動車ローン
- カードローン
- 教育ローン
- クレジットの分割払い
- リボ払い
- 事業用融資(自営業者)
たとえ少額でも “毎月の返済額” が返済比率に乗ります。
● NGパターン
- 車のローンで毎月3万
- クレジット分割で毎月1万
- リボで毎月1万
こうなると住宅ローンの余力がかなり減ります。
● 審査を通すための対策
✔ 車のローンを完済してから審査へ
✔ 分割払いは解消
✔ リボも完済
✔ 借入はなるべく1本化
これだけで借入可能額が1000万円以上変わる人も珍しくありません。
■ 5. 貯金額・家計の健全性
銀行は「日頃の家計管理」も見ています。
● 預金をなぜ重視するのか?
- もしものときの返済余力
- 計画性のある人かどうか
- 資金使途の明確さ
特に、頭金ゼロの人は貯金が多いほど審査に有利です。
● いくらあれば良い?
目安は
手取りの6ヶ月分以上(最低100万円〜200万円)
● 審査を通すための対策
✔ 預金口座は複数月で残高を増やす
✔ 大きな動きがあるときは説明できるように
✔ 言われた書類はすぐ出す
銀行は「整理整頓された家計」と「提出書類の速さ」も見ています。
■ 6. 審査に通る人・落ちる人の典型例
● 通る人
- 返済比率が低い
- 延滞がない
- 借入が少ない
- 勤続年数が安定
- 貯金がある
● 落ちる人
- スマホ代を何度か延滞
- リボを常用
- 車のローンが重い
- 転職したばかり
- 預金がほぼゼロ
同じ年収でも、審査結果は大きく変わります。
■ 【まとめ】審査の裏側を知れば対策できる
住宅ローン審査は「落とすため」ではなく、
“返せる人かどうかを見極めるため” に行われています。
審査の本質はこの2つ。
✔ 返済能力
✔ 信用力
この2つをしっかり整えておけば、ほとんどの人は審査を通過できます。
■ 今すぐできる対策まとめ
- リボ・分割を完済
- 車のローンを整理
- 延滞ゼロを徹底
- 貯金を増やす
- 借入額を無理しない
- 転職直後は審査しない
審査は怖いものではありません。
「正しい準備」をすれば、あなたにとって最適な住宅購入へ近づけます。
「ご自身の状況をもとに“通るかどうか”を簡易診断したい場合は、具体的な年収・借入・勤続年数をお知らせいただければ、最適なアドバイスをお送りします。」