「物価は上がっているのに、給料はあまり増えない…」
「銀行に預けても利息がつかない」
こんな実感を持つ方が増えています。
この背景にあるのが「インフレ(物価上昇)」という経済現象。
インフレが進行すると、現金や預金の実質的な価値が下がり、資産が目減りするリスクがあります。
本記事では、インフレリスクへの備えとして注目される「実物資産」にフォーカスし、代表的な資産の特徴と活用方法についてわかりやすく解説します。
そもそもインフレとは?
インフレ=お金の価値が下がること
インフレ(inflation)は、物価が継続的に上昇する現象を指します。
例えば、去年100円で買えたものが、今年は110円になっていた場合、お金の「購買力」が下がったことになります。
つまり、同じ1万円でも、買えるモノやサービスの量が減ってしまうのです。
インフレ下での預金のリスク
インフレ率が年2%で、預金の利息が年0.001%だとすると、実質的には資産が毎年2%減っているのと同じです。
このように、現金や預金に偏った資産配分では、インフレの進行とともに資産価値が目減りしてしまいます。
インフレに強い「実物資産」とは?
実物資産=モノとして存在する価値のある資産
インフレ対策として有効とされるのが、「実物資産」への投資です。
実物資産は、紙幣のような“名目の価値”ではなく、モノとしての価値があるため、インフレ時にも相対的に価値が下がりにくい特性を持っています。
代表的な実物資産には以下のようなものがあります。
代表的な実物資産と特徴
① 不動産
- 土地や建物はインフレによって物価全体が上がる際に価値が上昇しやすい資産。
- 賃貸用不動産であれば、インフレに伴って家賃収入も増える可能性があります。
- 一方で、流動性(すぐに現金化しにくい)や初期投資額の大きさには注意が必要。
② 金(ゴールド)
- 長期にわたり価値の保存手段として評価されている資産。
- 政治・経済の混乱時にも需要が高まる「安全資産」。
- インフレ時には通貨の価値が下がる一方、金の価値が相対的に上がる傾向があります。
③ インフレ連動債(インフレプロテクション債)
- 国や企業が発行する債券で、物価上昇に連動して元本や利息が増える仕組み。
- 日本国内ではあまり一般的ではありませんが、米国の「TIPS」などは人気があります。
④ 商品(コモディティ)
- 原油、銅、大豆、小麦などの世界的な需要がある物資。
- 景気や需給で価格が上下しますが、インフレ環境下では上昇しやすい傾向があります。
- ETFや投資信託で間接的に投資が可能。
実物資産投資のメリットと注意点
メリット
- インフレに強い: 現金・預金の目減りリスクを補える
- 分散効果: 株式・債券などと違う値動きをするため、全体のポートフォリオのリスク低減につながる
- 価値保存性: 長期的に価値が下がりにくい
注意点
- 価格変動リスク:金やコモディティは需給や世界情勢に左右されやすい
- 流動性リスク:不動産は売却まで時間がかかることが多い
- 保管・管理コスト:物理的に保管する資産は費用が発生する場合も
インフレに備える資産の組み方
インフレに備えたポートフォリオを組む際には、以下のような資産配分が考えられます。
✅ 例:インフレ時の資産分散モデル(例)
- 国内外の株式:40%(成長性)
- 債券・現金:30%(安全性・流動性)
- 実物資産(不動産・金など):30%(インフレ対策)
このように、目的やリスク許容度に応じて、実物資産を資産全体の一部に組み込むことが効果的です。
まとめ|インフレリスクには「現金だけで持たない」選択を
インフレが進むと、ただ現金を持っているだけでは資産価値が目減りしていくリスクがあります。
そのリスクを和らげるためにも、実物資産への投資は現実的な選択肢といえるでしょう。
不動産や金などの実物資産は、**価格変動のリスクと引き換えに「価値を守る力」**を持っています。
あなたの資産が、将来にわたって安心して使えるようにするために、実物資産の活用をぜひ一度検討してみてください。