選挙と株価は密接に関係する?
株式市場は政治イベントに大きく反応する傾向があります。
特に与党が大敗するような選挙結果は、既存政策の継続性に疑問符がつくため、市場が短期的に不安定になることが少なくありません。
一方で、長期的には「新政権への期待」「政策の見直し」などが市場に好影響を与える場合もあります。
このため、与党大敗時の株価動向は一概に下落すると言えず、短期・中期で異なるアノマリーが存在します。
日本における与党大敗と株価の動き
1. 2009年:民主党圧勝と日経平均
2009年の衆議院選挙では自民党が大敗し、民主党が政権交代を果たしました。
この時の日経平均株価は、選挙直後に一時的な下落を見せました。理由は「政策の不透明感」や「経済運営の見通しへの不安」でした。
しかし、その後は米国リーマンショックからの回復期待や世界経済の底打ち感から、選挙結果の影響は数週間で薄れ、株価は反発しました。
2. 1993年:自民党下野
1993年の衆議院選挙で自民党が下野した際、株式市場は一時的に売りが先行しました。
しかし、非自民連立政権による金融改革期待などで半年後には株価は回復。短期的には政治的ショックを受けても、景気や国際経済要因が株価に優先する傾向が見られます。
海外事例から見るアノマリー
米国:中間選挙と株価
米国では中間選挙で与党が議会で議席を減らすことが多く、そのたびに株価は短期的に調整する傾向があります。
例えば2018年の中間選挙では、トランプ政権(共和党)が下院で敗北しましたが、結果発表後の株式市場は「ねじれ議会で大規模な増税や規制が難しい」との見方から株価が上昇しました。
欧州:不安定政権への懸念
フランスやイタリアでは、選挙結果が市場にネガティブに作用することが多いです。特にユーロ圏では財政規律の緩和懸念やEU政策への影響が投資家心理を悪化させる場合があります。ただしこれも長期的には企業業績や金融政策が主導するため、選挙影響は一時的です。
与党大敗後の株価アノマリー:共通点
- 短期下落・中期回復
政治的不確実性が短期的な売り圧力となるが、数週間〜数か月で回復する傾向が強い。 - 政策転換期待
政権交代や新政策への期待で株価が反発することがある。 - 世界経済が優先
国内の選挙結果よりも、FRBの利上げ、為替、景気指標など外部要因の影響が大きい。
投資家が取るべき戦略
1. 短期的な下落は押し目買いチャンス
過去の例を見ると、与党大敗後の株価下落は数日〜数週間で収まることが多いため、投資家にとっては押し目買いの好機となり得ます。
2. セクター別戦略
政権交代や政策転換が予想される場合、恩恵を受けるセクター(再生エネルギー、公共事業など)に注目するのが有効です。
3. グローバル要因を重視
国内政治よりも米国金利、為替(ドル円)、海外株式動向を注視する方が合理的です。
与党大敗と株価のシナリオ例
- 短期(1週間以内): 投資家の不安から売り圧力が高まる。
- 中期(1〜3か月): 政策の方向性が明確になり、市場は落ち着く。
- 長期(半年〜1年): 景気や世界市場に沿った動きに収束。
まとめ
選挙で与党が大敗しても、株価が長期的に下がるわけではありません。むしろ、一時的な調整後に政策期待や海外市場の好転で反発するパターンが多いのが過去の事例です。
投資家は短期のボラティリティに惑わされず、世界経済・金利・企業業績のファンダメンタルズを軸に戦略を立てることが重要です。
出典
- 日本経済新聞「株価と政権交代の関係」
- Bloomberg「Election and Stock Market Trends」
- 内閣府統計、日経平均データベース